2010年03月20日

短歌20100320朝

国家最優先課題として映さるるニッポニア・ニッポン巣立ちの檻[ケージ]
ラベル:短歌
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2010年03月16日

虫武さんとこ

虫武一俊さん
ネットでしばしばお目にかかる。
お!
いいなって思うことしばしば。



虫武さんの近作(と思われる)より六首(順不同)


髪も身も風にまかせてときどきはただの物体に戻りたい

 「物体に」というのがいいよね。「髪も身も」というように「髪」をいれたところが技。髪で風のイメージがあきらかにされて、「まかせて」とともに「か」の韻もふんでいる。そして「ときどき」でリズムを継続させていて。「ただの」できちんとしかもなにげなく「物体」につなげている。
 三句目で転じて下の句で述べているスタンダードな感じで安定している。


スクランブルエッグがうまく作れたと母に言わずにきて、こうなった

 「言わずに」というように否定で表すところはきちっと基礎ポイントついていると思う。「うまく作れた」かここできいてくる。
 で、うまく作れたのは「スクランブルエッグ」なにかありそうな気配でそして、「こうなった」と告げている。読点がきいていて、句跨りをあきらかにした上で「こうなった」の部分を別口にしているので、ながれは自然なのだけれど「こうなった」部分が字足らず的な欠損感もともなっている。もちろん「こう」は指示代名詞だからそれがなんだったのかはわからないけれど、そこを謎にして、受け渡す感覚だけをつたえている。


はこにわにうさぎは眠る はこにわに壊れなければ気づかないまま

 歌そのものは隠喩でつくられているように思える。
 二句で一字空けしているので強制的に切れる。二つの「はこにわ」がループのようにも感じられる。そして二つ目の「はこにわに」は三句なので、下の句がはじめから「壊れなければ〜」という叙述になるのでわかりやすくなる。
「はこにわに壊れなければ」がすごい。はこにわはうさぎ大の生き物のいるような空間とは思えないが、そこにうさぎはいて、眠っている。そしてそこで壊れている。うさぎははこにわ以外のところで壊れていたら気づかれなかったのだ。そしてうさぎは「壊れ」たのだ。
 「はこにわ」の平仮名書きも、「うさぎ」の選択もベストだと思う。これが「箱庭」だったり「犬」「猫」だったらダメなのだ。音のつらなりもいいと思う。


「待たせたな」もうすぐカッコつけながら来るはずおれのなかの勇気は

 ちょっと辻井さんを連想してしまった。^^;;
 「カッコつけながら」のところに意識があらわれている。これは自分を、自分の勇気を客観視している。
 「もうすぐ」「はず」や倒置なども効果がでている。


自転車のうしろのカゴにすっぽりと入ったのでつれていく赤ちゃん

 「ので」ですよ。前の歌の「はず」といい、こういったところが上手だと思う。助詞っていうのかな(実は文法とか極度に苦手で^^;;)。
 「すっぽり」は実にジャストミートだと思う。これが無理やり押し込んだとかだとだめ。すかすかもだめ。ちょうど「すっぽり」がいい。語感もいい。入れられるのは「赤ちゃん」。入れられてつれていかれた。あ、作中主体からみれば、すっぽり入ったので、つれていった。すっぽり入らなかったら?? 「つれていく」ってこともなにやらざわめきを感じるけれど、「ので」って、入らなかったらどうだったのだろうとかいろいろと想像してしまう。「自転車のうしろのカゴ」だなんて、なんてぞんざいな。
 上の句は定型だけれど下の句がすこしイレギュラー。音数だと15音で、1音多い。できるだけ77に分けると「入ったのでつ」「れていく赤ちゃん」となって語割れ感。だけれど実際は「入ったので」「つれていく赤ちゃん」と読むことになると思う。そうすると、あきらかに異常な部分の「入ったので」が音の欠損をまとって、サクッっとくる。
 なにがなんだかわからないけれど、ざわめきを感じてしまう。これは、きちんとわかりやすく景が描写されていて、語選択や助詞のつかいかたで醸し出す雰囲気や、意識のありかたをきちんとしめしていて、それでいて謎を残しているから。


ぜぶらぜぶら世界がすべて安全に正しく色分けされていっちゃう

 これまた不思議な歌、不思議な魅力。
 「ぜぶらぜぶら」のように、通常はオノマトペでないものをオノマトペに使うことはしばしばあって、なおかつ「ぜぶら」はそれなりに人気の高い言葉だと思う。「世界がすべて」も「安全に正しく」も「色分け」も、けっこうよく使われることばだと思う。でもなにか、感じてしまう。既視感だけではおわっていない。
 これはきちんと歌がつくられているからだと思う。ありがちな雰囲気だけでながしているのではなくて、伝えたい方向に歌がむかっているからだと思う。
 「ぜぶらぜぶら」ひらがながいいですね。カタカナの「ゼブラ」からイメージが少しだけ解き放たれるし、ひらがなの感触も出る。そして呪文みたいだ。そして「ぜぶらぜぶら」は「色分け」をきれいに引き出す。
 色分けされていくのは「世界」。ここは「世界」でないといけないのだと思う。「全て」という意味での「世界」、じぶんの認識範囲をあらわすものとして「世界」。
 で、その世界が「すべて安全に正しく」という、これでもかという、きちんとしたものの見本のようにされる。「すべて」「安全に」「正しく」と3つ連なっているのも効果がある。
 これらがすべてきちんと「色分け」に集中している。
 さいごの「いっちゃう」も感情をあらわしていて、そしてこの子供っぽい雰囲気を出すことによって、一首の雰囲気を決定付けている。画竜点睛。


虫武さんのサイト
The NEET-verse
http://blog.livedoor.jp/kitakawachi/
ラベル:短歌,虫武一俊
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2010年03月15日

短歌20100315昼

寒過ぎて皮のくぼみにふくらみし馬鈴薯の芽のにほひ鮮し
ラベル:短歌
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2010年03月10日

短歌20100310昼

ひやひやと長き腸[はらわた]生まれたり美しきシャーレのひかりの中に
ラベル:短歌
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2010年03月09日

短歌20100309夕

「おい、小池!」指名手配犯ポスターに小池光を思ひ出したり
ラベル:短歌
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2010年03月08日

短歌20100308昼

愛されてゐるのだらうね人づてに秋葉四郎はAKB46とぞ
ラベル:短歌
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2010年03月07日

短歌20100307昼

をみなごの脚の白きの突き出たる制服ぞろりバスよりなだる
ラベル:短歌
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2010年03月05日

短歌20100305朝

うつしよに生れしともがら猫なれば今し空ろの住処かなしも
ラベル:短歌
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2010年03月04日

短歌20100304早朝

欠片なるその一切れを口にして鮭の鮭なる日本の朝
ラベル:短歌
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2010年03月03日

短歌20100303昼

若春の冬のなかにて春なるを如何にも春の心地と思はむ
ラベル:短歌
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2010年03月02日

短歌20100302乙夜

過ぎゆきし時代とどめし歌謡曲きけばたゆたふ花冷えの夜
ラベル:短歌
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2010年03月01日

阿部美佳さん

短歌人の阿部美佳さんが亡くなった。
黒田さんのブログでお名前は知っていて、会誌でもみかけてはいたのだけれど、恥ずかしながらきちんと読んではいなかった。
ただ、名前はいつも気になっていた。
気になって検索したら「杜の都通信」にいきあたった。
息遣いを感じた。



みの虫が居る「書」のぷらぷら道
(杜の都通信のカテゴリがあります)
http://blog.livedoor.jp/artcircus/

わが郷を訪ねてくれしかの友よ共に見し津軽のさくら思う夜長は 阿部美佳
posted by はづき生 at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 短歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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