2010年04月23日

矢嶋博士さんのマクドの短歌

矢嶋博士さんが、興味深い短歌を作っている。



マクド二階は。わが避難所にして、聖なるかなや パン、コーヒー、歌。を得さしめ賜ふ

実際。200円でコーヒーを飲ま、マックチキン食は、歌うたはしむるなり

200円。ならばこその、わが日に数度も、避難に退避繰り返しをりぬ

早朝は6時からゆき、深夜ゆき。25時までをわがゐ抱かれゐしよ

マクドは。わァが、やァどォり〜。書斎、学問の府。開かれて世界を見しむる

わがいのちを。養い呉るる わがうたを 太らせ給ふ マクドぅぞ宝


当該記事URL
http://yasimahirosi.at.webry.info/201004/article_56.html




以下、歌評というか、解析のようなもの。


マクド二階は。わが避難所にして、聖なるかなや パン、コーヒー、歌。を得さしめ賜ふ

 句点、読点の多用が目につく。こういった歌がないわけではないが、ここまでの多用はめずらしい。これによって読む際の韻律が強く制御される。見た目にも区切りがはっきりすることになる。
 一見、歌としてズタズタにされているように思うが、読んでみるとわかるとおり、訥々ではあるが読みにくくはない、むしろ独特の声調になっている。
 また、句点、読点で区切ることによって、各オブジェクトが一直線ではない配置にされて、空気感を生んでいる。


実際。200円でコーヒーを飲ま、マックチキン食は、歌うたはしむるなり

「飲ま」「食は」「うたは」を言いさしておいて、さいごに「しむるなり」でまとめている。
 おもしろいけれど、成功しているかどうかは微妙。ただ、この連作の中においては、さほど気にならず、むしろこのような人なのだと、妙に納得もする。


200円。ならばこその、わが日に数度も、避難に退避繰り返しをりぬ

 なんとなくわかるが、不明な点も多い。
「わが日」とは、いったいなんであろうか。ふつう、その人にとっての一日は「わが日」だと思うが、あえて言うこともない。もしかすると、ふだんは「自分の日」という感覚がないのであろうか。下の句を読むと、自分の時間をつくりにいっているようにも思える。ただ、この文脈で「わが日」は、わかり難いのではないだろうか。
「避難に退避」は、同じ言葉をあえて避けたのだろうけれど、あまり効果がないように思う。むしろ、意味を穿ってしまう。それとも、きちんと別物として「避難」と「退避」があるのだろうか。ここからは窺い知ることができない。


早朝は6時からゆき、深夜ゆき。25時までをわがゐ抱かれゐしよ

「〜ゆき、〜ゆき。」はどうしても、額田王の「あかねさす紫野行き標野行き〜」を連想する。そして歌に時刻も盛り込まれていることから、列車の行き先表示も連想する。
「わがゐ抱かれゐしよ」は、詠嘆に生身の感覚をとても感じてよいと思う。安堵感、そして、すこし客観的に、自嘲的な雰囲気もまじっている。


マクドは。わァが、やァどォり〜。書斎、学問の府。開かれて世界を見しむる

 おそらくは雪山賛歌を下敷きにしている。そして、「書斎、学問の府」と言い、「世界を見しむる」と言っている。
 いきなり出されると面食らうだろうし、読むひとによっては面白くないと思うが、実感はこもっていると思う。この連作の中にあって、効果をあげるものだと思う。


わがいのちを。養い呉るる わがうたを 太らせ給ふ マクドぅぞ宝

 沖縄の諺だったと思うが「命どぅ宝(ぬちどぅたから)」というものがある。命が宝だ、ということである。これを下敷きにして「マクドぅぞ宝」と言っているのだと思う。
 歌としては、そのまま実感を述べただけに思われる。しかし、強い実感は感じる。




余談
 もしかすると、わたし以上のマクドの強者なのではないかと思われる。わたしが畏怖するほどの人を知ったのは、はじめてである。それが取り上げる動機のひとつともなっている。わたしは「スーパーサイズミー」の映画の人にも、日本で「スーパーサイズ」的なことをして本にした人にも、畏れは感じなかった。
 客として、マクドに通う回数、滞在時間は、期間限定であるならば、未記録ながらわたしは、世界でもトップクラスだと思っていたのだ。
 小学生のころは、お小遣いその他の関係からも、週に1,5回くらいしか行っていなかったが、中学、高校は一日に1〜3回。ゲームなどをして滞在時間は毎日数時間。大学時代はもっと多くて、毎日3〜5回。一日の滞在時間は4〜17時間くらいであった。社会人になってからも毎日のようにマクドに通っていた。
 しかし、おなじようにマクドに住むがごとき人を知ったのは、矢嶋氏がはじめてなのである。
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2010年04月13日

西巻真の短歌時評チェック

 西巻真さんが純響社のサイトで短歌時評を書いています。
 不定期連載です。
 どんどんいい感じになってきているので、チェック。
 そういえば、とくに2010/04/13時点での最新の記事(フランス的な表層か〜略)を読んでいて、文体が何かに似ていると思ったら、いわゆる批評家のひとたちに似ていた。文芸、とくに詩歌は批評者と作者がほぼイコールの場合が多い気がしていて、とくに短歌は(ほかはあまりしらないけれど、たとえば詩は、詩作者いがいの評者が短歌よりは多い気がする。)短歌作者が批評していて、その文体はごく普通に論じているように思われる。わたしみたいに、そもそも普通の文章すらひどいありさまではあまり説得力はないのですけれど、そう感じる。もちろん内容の是非などではなくて、文体のこと。
 ただ、文体が違うと、対象の切り口などもかわってくると思う。
 西巻さんの文体は、批評家の人たちの文体に似ていると思った。それと、すこし遠回りにみえるけれども、いくつかの必要な話や語定義を埋めていっている。
 というわけで、検索したら、石原千秋さんの弟子だたのねー。

西巻真の短歌時評
http://junkyosha.com/jihyo/index.html
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2010年03月16日

虫武さんとこ

虫武一俊さん
ネットでしばしばお目にかかる。
お!
いいなって思うことしばしば。



虫武さんの近作(と思われる)より六首(順不同)


髪も身も風にまかせてときどきはただの物体に戻りたい

 「物体に」というのがいいよね。「髪も身も」というように「髪」をいれたところが技。髪で風のイメージがあきらかにされて、「まかせて」とともに「か」の韻もふんでいる。そして「ときどき」でリズムを継続させていて。「ただの」できちんとしかもなにげなく「物体」につなげている。
 三句目で転じて下の句で述べているスタンダードな感じで安定している。


スクランブルエッグがうまく作れたと母に言わずにきて、こうなった

 「言わずに」というように否定で表すところはきちっと基礎ポイントついていると思う。「うまく作れた」かここできいてくる。
 で、うまく作れたのは「スクランブルエッグ」なにかありそうな気配でそして、「こうなった」と告げている。読点がきいていて、句跨りをあきらかにした上で「こうなった」の部分を別口にしているので、ながれは自然なのだけれど「こうなった」部分が字足らず的な欠損感もともなっている。もちろん「こう」は指示代名詞だからそれがなんだったのかはわからないけれど、そこを謎にして、受け渡す感覚だけをつたえている。


はこにわにうさぎは眠る はこにわに壊れなければ気づかないまま

 歌そのものは隠喩でつくられているように思える。
 二句で一字空けしているので強制的に切れる。二つの「はこにわ」がループのようにも感じられる。そして二つ目の「はこにわに」は三句なので、下の句がはじめから「壊れなければ〜」という叙述になるのでわかりやすくなる。
「はこにわに壊れなければ」がすごい。はこにわはうさぎ大の生き物のいるような空間とは思えないが、そこにうさぎはいて、眠っている。そしてそこで壊れている。うさぎははこにわ以外のところで壊れていたら気づかれなかったのだ。そしてうさぎは「壊れ」たのだ。
 「はこにわ」の平仮名書きも、「うさぎ」の選択もベストだと思う。これが「箱庭」だったり「犬」「猫」だったらダメなのだ。音のつらなりもいいと思う。


「待たせたな」もうすぐカッコつけながら来るはずおれのなかの勇気は

 ちょっと辻井さんを連想してしまった。^^;;
 「カッコつけながら」のところに意識があらわれている。これは自分を、自分の勇気を客観視している。
 「もうすぐ」「はず」や倒置なども効果がでている。


自転車のうしろのカゴにすっぽりと入ったのでつれていく赤ちゃん

 「ので」ですよ。前の歌の「はず」といい、こういったところが上手だと思う。助詞っていうのかな(実は文法とか極度に苦手で^^;;)。
 「すっぽり」は実にジャストミートだと思う。これが無理やり押し込んだとかだとだめ。すかすかもだめ。ちょうど「すっぽり」がいい。語感もいい。入れられるのは「赤ちゃん」。入れられてつれていかれた。あ、作中主体からみれば、すっぽり入ったので、つれていった。すっぽり入らなかったら?? 「つれていく」ってこともなにやらざわめきを感じるけれど、「ので」って、入らなかったらどうだったのだろうとかいろいろと想像してしまう。「自転車のうしろのカゴ」だなんて、なんてぞんざいな。
 上の句は定型だけれど下の句がすこしイレギュラー。音数だと15音で、1音多い。できるだけ77に分けると「入ったのでつ」「れていく赤ちゃん」となって語割れ感。だけれど実際は「入ったので」「つれていく赤ちゃん」と読むことになると思う。そうすると、あきらかに異常な部分の「入ったので」が音の欠損をまとって、サクッっとくる。
 なにがなんだかわからないけれど、ざわめきを感じてしまう。これは、きちんとわかりやすく景が描写されていて、語選択や助詞のつかいかたで醸し出す雰囲気や、意識のありかたをきちんとしめしていて、それでいて謎を残しているから。


ぜぶらぜぶら世界がすべて安全に正しく色分けされていっちゃう

 これまた不思議な歌、不思議な魅力。
 「ぜぶらぜぶら」のように、通常はオノマトペでないものをオノマトペに使うことはしばしばあって、なおかつ「ぜぶら」はそれなりに人気の高い言葉だと思う。「世界がすべて」も「安全に正しく」も「色分け」も、けっこうよく使われることばだと思う。でもなにか、感じてしまう。既視感だけではおわっていない。
 これはきちんと歌がつくられているからだと思う。ありがちな雰囲気だけでながしているのではなくて、伝えたい方向に歌がむかっているからだと思う。
 「ぜぶらぜぶら」ひらがながいいですね。カタカナの「ゼブラ」からイメージが少しだけ解き放たれるし、ひらがなの感触も出る。そして呪文みたいだ。そして「ぜぶらぜぶら」は「色分け」をきれいに引き出す。
 色分けされていくのは「世界」。ここは「世界」でないといけないのだと思う。「全て」という意味での「世界」、じぶんの認識範囲をあらわすものとして「世界」。
 で、その世界が「すべて安全に正しく」という、これでもかという、きちんとしたものの見本のようにされる。「すべて」「安全に」「正しく」と3つ連なっているのも効果がある。
 これらがすべてきちんと「色分け」に集中している。
 さいごの「いっちゃう」も感情をあらわしていて、そしてこの子供っぽい雰囲気を出すことによって、一首の雰囲気を決定付けている。画竜点睛。


虫武さんのサイト
The NEET-verse
http://blog.livedoor.jp/kitakawachi/
ラベル:短歌,虫武一俊
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2009年09月17日

イマイさんとかりやすさん

 イマイさんのブログです。先日(2009年9月9日)短歌道の第一回短歌コンテストで金賞を受賞されています。
海水にななめに流されわたしたち体と体それだけになる イマイ
 いままでもお名前は拝見していたのですけれど、実は歌は読んだことがなくって、この受賞作を読んで、お!、とブログを読みにいきました。


近日UPされた記事のなかから、三首。

夜ひとり絹さやの筋剥きながら君より長く生きると決めた イマイ
熱をもつ土のにおいが家中にまとわりついて逃れられない
下ろされたブラインドからはみ出てる夏のおわりの四角い光

他にも題詠blogを利用した! 連作:魔法はいらない、は圧巻ですので是非みなさまご鑑賞を。


ゆびおり短歌
http://blog.goo.ne.jp/imaitanka




 うたのわの歌会で選歌するとなぜか、かりやすさんの歌を選んでいたりする。選歌時点では名前はわからないのになぜ。わたしは彼女の歌の特徴をほとんどつかんでいないのになぜ。と、不思議しきり。
 読んだときの感触と、完成度なのかな、理由を挙げるとすれば。

 実景を、独自のアイロニカルな視点で丁寧に諧謔的に詠んでいる印象があります。(いま、いくつか読んだw ほかにも、短歌人誌に掲載されているものなどを読んだりもしたけれど。)そして、ときに豪快でさばさばしていて、ひらめきな人の印象もあります。


海洋堂のおまけが欲しいいとこからもらひしチョコのたたりを浄む  かりやす
着痩せする同級生の背中なりカルキのにほふ女子更衣室
脂性はオイリー肌と言ひかへてダマスクローズの化粧水浴ぶ
草食の忌まはしきかな手も触れずピンクレディーを飲むをとこのこ
いいかげん引退すればいいのにと言はれたる幕引きが良いなり
祖母の座るかたはらに立つ魔法瓶開くを閉ぢるに戻したかりき
野菜しか食べぬ夕食テレビには妊娠検査薬のコマーシャル


彼方探訪
http://blog.zaq.ne.jp/tanka/
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2009年09月10日

34歳無職さん、絵うまい。

 どこのどなたかは存知上げませんが、たまたまティッカRSSリーダに登録されていた「やじうまwach」というサイトの記事で「34歳無職さん」というものが話題になっている、というのがありました。
 なにがなにやらわからないのですがなんとなくリンク先を覗いてみればあらふしぎ! ほわほわだつりょく感たーっぷりで面白かったのです。
 てゆーか、ゆるゆる描いてある感じだけれど、絵うまいし。デッサンしっかりしてるし、必要な細部はきちんとしている。添えられた文も簡潔で適切でおもしろい。切り取り方も雰囲気の作り方も絶妙。
「34歳無職さん」は「えほかんこ?」の一コンテンツのようです。


少ししらべたら作者は、漫画家のいけだたかしさんのようです。



URLは表示に障害がでるので「けーじばん」に記述しておきます。
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2009年08月25日

おもしろい文章、気持ちのいい文章。

 いま、思い立ったのでいくつかブログを紹介します。おもしろい文章、気持ちのよい文章のブログです。たぶんこのブログからもリンクしているところだと思うので、みなさまよろしく。

 あ、あげるのはひかくてきわかりやすい文章のブログです。


ここではおなじみ? 超若手詩人。
さいきんでは『TOLTAの国語』の表紙を描いています。
お月さまになりたい:文月悠光さん
http://hudukiyumi.exblog.jp/



新進気鋭の超若手歌人。
Rhyme Light:芥子さん
http://rhyme-light.jugem.jp/



ますます研きがかかったレヅビアン日記。
女女苑:biancaさん
http://jyojyoen.seesaa.net/



短歌、詩、小説と活躍中。
Rui Hayasaka Official Web Site:早坂類さん
http://hayasakarui.com/



むつかしそうな顔をしておもしろい歌人。
世界を揺るがした十日間:小池光さん
http://blog.livedoor.jp/qqng48r9/



 みなさま、この機会にぜひぜひー。
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2009年08月04日

読み応えある短歌サイトいくつか

魅力的な短歌サイト遺産っぽいのを集めてみた。(再録あり)
あ、短歌人のサイトはもちろん現役です! かかわりがあるので一緒に、ということです。


短歌人
http://www.tankajin.com/
わいわい自由で楽しそうでそれぞれが好きなことをしているみたいな結社。

電脳日記・夢見る頃を過ぎても
http://www.sweetswan.com/19XX/ryufuji2.cgi
藤原龍一郎さんの日記。更新停止。濃い。読むべし。

短歌発言スペース・抒情が目にしみる
http://www.sweetswan.com/ryufuji/tanka.cgi
多士済々の掲示板。運用停止。しかしこれは読むべし!

天象俳句館
http://homepage2.nifty.com/masaoka/index.htm
以前にも紹介した正岡豊さんのサイト。
二年くらい更新が停まっていますが、どきゅんとされにいきましょう。
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2009年06月11日

まとめてチェック。気になる短歌ブログ(再録あり)

 わたしはいつもさ迷っていてあちらこちらをよく覘くのだけれど、たびたび気になって覘くブログがいくつかある。気になるところ、チェックするところは沢山あるのだけれど、自分の中でホットというかマイブームなブログをいくつか紹介します。でも、いくつかは再録です。いくつかは、ずっと紹介しようと思っていてなぜかしそびれていたところです。




小椋庵月さん
「今、この星で起こっている素敵なこと」
http://yaplog.jp/ogura/

 イチオシ! ますます磨きがかかっています。実生活にかなりもとづいている歌が多いと思います。比喩が破綻なく腑に落ちていきます。一定のトーンを感じさせる詠いぶりです。おなかにずしんとくる。

近作、「24の予兆〜プレリュードによせて〜」から抜粋。
非常に自覚的、自制的。おさえきれないほどの気持ちをクールに、なれないながらもなろうと頑張っている様子がうかがえる。


・もしも今話しかけられでもしたら したらしたらと花道で待つ

・「おそくなる」そんな呪文に左手の重たく進む秒針をみる

・ルーチンにながされていく毎日がみえないトビラひらいてくれる

・窓際の陽ざしを浴びた広い背がシーツの匂いで誘ってきます

・「雨だから」会わない彼を雨だれが格子のように遠ざけていく

・初雪が頬に触れてくながれてく あーちゃんここはわらうとこだよ




羽うさぎさん
羽うさぎの日
http://usacoco.cocolog-nifty.com/

 前回紹介した羽うさぎさんです。当初から言葉選びや使い方のセンスが良いと思っていましたが、さらにさらに成長著しいです。短歌独特の感覚のようなものを急速に身につけているように感じます。センスに加えて安定感も少しずつ増してきて、それによってセンスがさらに磨かれていっている感じ。

・彼方には波のくだける音のして夜には海をおさえきれない

・オレンジの車体を揺らしバスは行く夕焼けの裾をひきずりながら

・長靴をはけば止まらぬ冒険心水たまり跳び泥水はねて

・おだやかなプロテストとしてワイシャツに白マジックでハートを描く

・アイドルと呼ばれる時はみじかくて生菓子類はくさりやすくて




安藤えいみさん
Amy's
http://amytanka.blog19.fc2.com/

 わたしはたまたまネットサーフィンをしていて知ったのですが、2008年度の角川短歌賞の佳作をとった方です。イラストが素敵。短歌は写実ばかりではなさそうで、とらえどころがなさそうで若い女性らしい感覚をダイレクトに感じるのですが、すこし荒削りですけれども景が立ったり、意味がとれるところに落とし込んでいるのがさすがだと思います。いろいろな感覚が非常にすぐれている。最近はさらに安定感が増してきて、テクニカルな部分もあります。

・ひらがなの「ら」の字を描くように散る桜の花びら ららららららら

・スカートのフリルを一段増やすように恋した春はふんわり楽しい

・あの春のあの夜のあのくちびるに重ねるために買った口紅

・帰り道 ヒールに無理やり押し込んだつま先も酔ったみたいに朱い

・前髪をすこし長めに整えてフレームを付ける わたしの世界に



井手蜂子さん
蜂歌/Hello,Mr.Darkness.
http://song4joy.jugem.jp/

 短歌ユニットivoryで活躍している井手蜂子さんです。うちのブログからもリンクさせていただいております。映画のワンシーンのような短歌が多いように思います。で、その情景の中のどこかに、自分の感覚や感情をひそませていることも多いように思います。おしゃれなカットに潜む、ずしりとしたもの。モノや場所をみつめる視線がクールで抒情的。怒りと問いかけや哀しみが背後にある。

・四年前の今日突然に降り出した雨こそ言い訳だったと気付く

・二〇〇一年元旦零時みなとにて汽笛が告げる未来警報(emergency)

・非常識、と数えて昇る階段で「き」を唱えたら転げて落ちた

・三越のライオンに問う百獣の王者とは王者の誇りとは

・はな、はながむむずむずとしてくしゃくしゃみ、がとめられそうになくてごめ(ぐしゃっ)

・千人の数学者たちはこつこつと世界平和の解を求める

・ヒトヘルペス2型は民族共存の夢みて今日も愛を語れり

・東京湾の見える草原ここはまだ名を持たぬ土地D-0街区

・牛乳に浮かぶ苺のひとつだけ潰し忘れてまだ迷ってる

・純正律ハ調長三和声では息も継げず、に、あ、あ、かみさ、ま、

・「毎日がspecial」震える文字ならぶ沈没船の航海日誌


 特に『ivory no,00』収録の「樹状細胞的都市計画」は良い
樹状細胞都市計画より
・乗車率200の触合い
 泡沫の一粒として生かされている

         ・街中に土の空白
ここにまた巨大な墓が建つのであろう

     ・億千の月日が経てば
砂となる人工の土がわたしの故郷

・泥の河流れる端の石棺に「たんぽぽの花 ここに眠れり」

・撮る人と撮られる人とそのむかし蓮華の種を蒔く人がいる

・あの頃に見たキラキラを探すため
 借りたユンボで砂場掘る日々



中森つんさん
猫になる日の詠
http://byouei.blog.shinobi.jp/

 とっても想いの強い人だと思う。最近、短歌をはじめたらしいのだけれど(2009年6月11日現在)、すでに短歌一直線のようす。想いの強さと疾走具合がいい。そのせいか、中にはずしっとくるものや、どきっとするものや、面白いものがあったりする。


・ほむほむに愛されている気がしたわ だってわたしの短歌詠んでる (注:原文ママ)

・悪魔でも召喚できてしまいそう スクランブル交差点の陣

・青い目が「はうあーゆー?」と問いかけてこの口は「あ」で硬直してる

・ふわふわの毛並みの猫がずぶぬれになった姿はカワウソのよう

・ひとりきりビッグマックにかぶりつく そんな気分になるときもある

・新年に神様の前手を合せ 願いごとより釘と木づちよ

・彼の部屋ビーフシチューの残り香で本カノさんへ宣戦布告

・寝てる間にパンツのタグをちょっきんと切ったらあたし優越の中

・目標を「死ぬこと」として設定し連想ゲームいまからはじめ




疲れたのでまたあとで書き足します。
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2009年04月18日

羽うさぎさん

 さきほど笹短歌の投稿をして、相変わらずわたしはなんてヘタレなんだんろうなぞと呟きつつ他の人の投稿歌を読んでみて気に入ったのがありました。
 羽うさぎさんです。初投稿らしいです。
 で、選歌もまだなのでここに載せるのは控えますが、笹短歌の投稿ページにありますので、みなさんよろしう。アイスの歌なんてさいこー。
 で、初めてみかけた人かと思えばさにあらず、わたしが先日の「夜はぷちぷちケータイ短歌」で、あ、いいな、と思った歌の作者だったのでした。不思議。
 夜はぷちぷちケータイ短歌での歌をとりあげます。

羽うさぎ
 立ち上げたパソコンの音静かなり マウス握る手しんと冷えゆく


 うたのわにも登録されているので、みなさんGO! です。
 羽うさぎさんのブログは以下。
http://usacoco.cocolog-nifty.com/blog/
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2009年03月26日

天象俳句館 正岡豊さん

 なにやら緊急報告風。感情がビッときた瞬間に書かねば。
 とあるところのやりとりで、勉強というか、ちょこっと調べ物くらいのつもりで、詩論などの検索をしていたら、とあるところに日記風のログがあって、そこに、少しふざけた風? と一瞬思えた短歌があった。
 ちょうど、わたしの目に飛び込んできた二首を挙げる。



オオアリクイ ひどいじゃないかわたくしの風穴ごしにエサを取るとは  正岡豊

 ベルマークキスマークベルマークさて、二者択一のリリアン・ギッシュ



しかし、ただもんぢゃねぇぇぇぇ!! と、ピンときたので名前を検索した。
 正岡豊さん、である。さいしょは俳句の人かと思ったが、いろいろなされているようである。(というか、いまだによくわかっていないが^^;;)「短歌人」や「かばん」に在籍していた(いる?)らしい。
 しばらくサイトに通おうと思う。
天象俳句館
http://homepage2.nifty.com/masaoka/index.htm
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2008年10月18日

知らんでした、東浩紀のゼロアカ道場

 むちゃむちゃ不覚。というか、まー不覚なのがデフォルトなわたしだから当然といえば当然のごとく、「ゼロアカ道場」なるものがあることを知りませんでした。文学フリマにリンクを張っているにもかかわらず。てゆーか、ゼロアカも知らんかったです。東浩紀の名前も今年に入って知りました。ええ、もう、文学界隈初心者丸出しです。いや、一般社会からみても世事に疎すぎます。
 そんなわたしですが幸いにも先日、ゼロアカ道場というものがあるということを知ったので書きます。どんなものか全然知らないのだけれど書きます、今書かないといつまでたっても書かない気がするので。
 かんたんな説明から。東浩紀というひとは批評家の方です。文芸批評の方です、たぶん。「ゼロアカ」というのは「ゼロ年代のアカデミック」の略らしいです。で、「ゼロアカ道場」が何かというと、東浩紀が先導して、ゼロ年代の批評家を選考&育成するプログラム、だそうです。2008年の一年間に6回の関門を設けて、クリアした一名は講談社BOXから初版一万部の著作デビューできる、というものです。詳しくはゼロアカ道場のサイトを読んでください。
 で、なぜ、ゼロアカ道場を紹介するかといえば、このところ東浩紀が気になっていたというのと、書評って(そして批評って)一体どういうものなのだろう、と思っていたからです。書評に対してなんとなくのイメージはあるのですけれど、自分が何か書いた場合は、できの悪い感想文みたいになるし、いわゆる書評というものを読んでみてもいろいろなものがあって、なにがどーなってどう役に立っているのか知りたかったからです。こういったものに少しでも首を突っ込めば、何か得られそうな気がしたからです。
 ゼロアカ道場のサイトでは第一関門からずっと、それぞれの関門の簡単な説明と、関門挑戦の動画、挑戦者たちのプロフィールや論文などを閲覧できるのです。一度に、様々な在野の才能が芽吹くさまを見ることができるのです。必見。
 どきどきします、わくわくします、みんな野心ドクドクな感じです。
 なお、2008年11月9日の文学フリマがゼロアカ道場の第四関門になります。文学フリマで批評の同人誌を売るということです。そして、文学フリマからの中途乱入者と競り合うそうです。

ゼロアカ道場
http://shop.kodansha.jp/bc/kodansha-box/zeroaka.html
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2008年08月27日

サラブレッド列伝:泣け心ゆくまで泣け

 マイネルマックスの死亡記事が出ていたので、なんとなく検索してみました。そこで出てきたのがこのサイトです。
 ここは、競馬と馬産に関するポータルサイト「MilkyHorse.com」の一部で、各競走馬についてのストーリーが紹介されています。時代時代の名馬を中心とした本紀、その他各馬の列伝で構成されています。
 豊富な知識とデータで当時の感動がリアルによみがえってくる。その馬に詳しくなくても、ある程度競馬が好きな人なら楽しめると思います。
 わたしは特別にマイネルマックスを応援していたわけではなかったのですが、それでも引き込まれてしまいました。ああ、これで、マチカネタンホイザとかヤシマソブリンとかホッカイルソーなんて出た日にゃぁ。。・゚・(ノД`)・゚・。
 それにしても、ラフィアン岡田、すごス!!!


サラブレッド列伝
http://www.retsuden.com/

MilkyHorse.com
http://www.milkyhorse.com/
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2008年08月24日

こころあろま:どきんと懐かしかった

 今日(2008年08月24日)有明でCOMITIAというオリジナル同人誌のイベントがあるのですが、行けない。無理すれば行けないこともないけれど、いくつか不都合があって非常に行きにくい。悔しい。
 以前の文学フリマもそうだけど、行きたいイベント、なかなか行けてないなあ。ちくしょう。
 三角みづ紀さんのBlogを読んでいるんですけれど、いくつかのイベントに出店していることが、しばしばあります。ずっと行ってみたいと思っているのだけれど、こういったワケで、今回も行けそうにないのです。
 そして、ちくしょうちくしょうちくしょうと、COMITIAのサイトでサークルチェックをして、辿りついたのがここ、こころあろま、でした。
 kazooさんのサイト。三角さんのお友達なのかな。
 文章はスプリット的で、ゆったりとぐっさりと、くる。すごい。うーん、三角さんの友達っぽいなあ。
 そして、絵。絵描きさんなのです。
 落ち着いて、懐かしい感じで、淡くしっとりと塗りこめたようだとおもえば、構図や内容がドラスティックで、気持ち良くなって近づいたらいきなり、入れ替えられて倒されて縊られる。そして幻想的で怪奇的で官能的な香りが漂ってきます。
 来年あたりはCOMITIA行けるだろーか。(´・ω・`) ショボーン


こころあろま
http://kokoroaroma.blog.shinobi.jp/
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2008年08月02日

呼吸を呼吸する(早坂類さん)

 とても心地の良い文章がある。浸っていたいリズムがある。早坂類さんの文章から、そのような呼吸を感じる。
 わたしは短歌の本で早坂さんを知った。なんといっていいのか、夕暮れ時に帰り道、川原で出会った大きな石のような存在感を感じた。
 静かに、必要な情報が、情感をともなって、すっと、すうっと入ってくる。いつのまにか重いものが、奥の方にたまっていっているのを感じてしまう。それでも静かに心地よく、すっと、すうっと入ってくる文章。意識はさめている。
 おそろしくも心地良さに沈もう。



早坂類1Day blog
http://d.hatena.ne.jp/hayasaka_rui/20080801

HAYASAKA RUICOM
http://hayasakarui.com/
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2008年07月11日

おぐらあんが、いいねとわたしは言ってみる

 トラックバックなので、ここでご挨拶。はじめまして、題詠ブログ2008に参加している、はづき生と申します。小椋さんの歌が気に入ったので、トラックバックさせていただきました。


本文

 わたしも短歌をはじめてみて早数ヶ月、なのですが、まだまだまだまだまだまだです。それでも幾分じたばたしていまして、あちらのサイトこちらのサイトを覘いています。ネット上で、あ、いい短歌つくってるなーとか、そういう人を何人かチェックしていました。で、今日、このサイトをピックアップしたというのは、気まぐれといえば気まぐれ、巡り会わせといえば巡り合わせですが、やはり気になる何かがあるのだと思います。
 なにかしらノルマがないとやらないだろう、と思い立って題詠ブログに参加しているのですが、今日たまたま目に入ったのです。普段は、なんとなくしか他人の短歌を鑑賞していないのですが^^;;; なぜか、たくさんある短歌の中から小倉庵月さんの短歌が、抜けてみえたのです。

題詠051 熊(小椋庵月)
白熊もおぼれてしまうこの星に遠い空からペンギンも鳴く

 わたしが最初に鑑賞したのは、この歌です。
 とても読みやすい普段つかいの言葉で、すんなりと読み下せます。少し空想がかっていますが表面的な意味としてもわかりやすく、すっと入ってきます。もちろん、字面そのままの意味ではなく、託された意味もあって、おそらくは地球温暖化に関することと思います。情景もきれいに浮かんできますし、最後の「ペンギンも鳴く」が、ユーモラスで愛らしい雰囲気とともに、確実に衝撃を与えるように感じます。

 気になったので、さっそくサイトを訪れてみたところ、高校二年生の女性でした。若いとは思っていたけれど、うーん、もしかしたらわたしは、嫉妬も感じていたのかもしれない^^;;;; そういえば、このコーナーで取り上げた人は、ほとんどが若い女性な気がする。
 それにしても、若い。で、感じたことは、いままでにも短歌を詠んだ経験があるのでは? 少なくとも、常時詠んでいるというほどでなくても、日常の中でたまに詠んでいるのではないかということ。そして、きっと、お祖父さんかお祖母さんがいるw いや、そんな雰囲気。言葉遣いとか。
 などと、勝手にプロファイリングしてしまった。すみません。<(_ _)>
 イメージカラーは群青色と若緑が程よく混ざって、少し空色が入って、ハイライトの星がいくつか。ああ、また勝手な妄想してしまってすみません。<(_ _)>

 サイトは、題詠ブログ2008専用っぽいのですが、次年度も続くのであろうか、それが心配。


みのたけのしぃの実(小椋庵月さん)
http://cinomi.blog70.fc2.com/
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2008年06月25日

ぼそりと、やっぱ俳句で天野慶

 こんな自分が言うのもなんだけど、などと前置きするのは自己弁護につながる酷いことなのだけれど、どうしてもこのように迂遠に、くるんで、言ってしまう、ああ。
 天野慶って、俳句がいいと思う、というか俳句の方がすごいんじゃなかろーか。彼女は短いほどいいような気がする。彼女の短歌は、口語で自分の感覚でストレートで、語感よくて、きちんと押さえてる部分もあって、独特のふにっとした雰囲気もあって、ああこーなのかとか、ああこーなんだな、と感じるところもあるのだけれど、今一歩、わたしには踏み込めず。足りず。それは物事の彫りこみかたと表現の展開なのかなーって思う。説明とか感情が表れることももちろん、多くあったりするけれど、それにしても多すぎるように感じる。
 それが、俳句になるとさらに削れるからかもしれないけれど、ぐっと良くなっているように感じる。俳句門外だからか、枯れるというよりも萌える、心地よい飛躍があって、優れて切れているように思う。
 ドキュンと撃ちぬかれろ、みんな。
天野慶の俳句
http://utanota.net/haiku1.htm
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2008年04月26日

あついふつう(能町みね子さん)

 とうとう能町みね子さんですよ。おもったときがタイミング、今、書きます。わたしのブログから、勝手に能町さんのブログ「能町みね子のふつうにっき」へリンクを張っておりますので、知っている方もいらっしゃるかと思います。ええ、その能町さんです。もっと早くに書こうと思っていました。自分のチェックしているサイト、気になったサイトを取り上げようと思って作った「気になるURL」のカテゴリ。その取り上げようと思っていたブログのひとつです。
 能町さんのブログを知ったのは、ある知り合いのブログをチェックしていたときでした。今、この界隈で最も熱いブログ! というように紹介されていました。他のサイトでも紹介ちらほら。なるほど、コメント数も多く、潜在読者数もかなりあると思われます。コメントも熱がこもり、支持されていて、まさに熱かったのです。
 熱狂の様子もさることながら、能町さんの文章が良かった。文章から見えてくる能町さんが、とても魅力的に感じられた。
 わたしが閲覧しはじめた当初は、読者数は、今よりもかなり少なかったと思うのですけれど、それでもかなりの人数でした。コメントも100件を超え、その内容もさまざま。メールなども含めた反響は、恐ろしいほどだったのではないか、と思います。それに対して、真摯に、できるだけコメントをつけたり、返信したり。どうにも対処できないくらい多くなったり、読者間でいろいろトラブルがあったり、その他辛い状況も多かったようにみえましたが、常に、真摯な態度で臨み、全力をつくしていました。
 ブログのテーマ(今のブログとは別のテーマです。)も、とてもセンシティヴなもので、扱いにくく、暗くなりがちだったり、暴走しがちだったり、日常的であるはずなのに、一般の現実とは乖離して偏ったサイトが多かったテーマなのですが、能町さんのブログは、そういった乖離を感じさせず、難しいはずのふつうを、そのままふつうに、そして自分の視点からきちっと、表現していたものでした。知的で、クールで、ホットで、信のおける人、そう感じました。
 ブログの内容もおもしろく、ごくごく日常のことなのに、わたしなどが書いたら、ただただスケジュールに感想をつけただけになりそうな日常のことなのに、とりあげる題材も切り口もしっかりしていて、文章も読者を考えて構成してあって、カラフルで楽しいイラスト付でした(今は、写真つき。)。
 「能町みね子のふつうにっき」は、そんな能町さんが、ふつう(出版とかお仕事とは限らず、あくまでふつうに自分なりに)に綴る日記です。(と、わたしは思っています。)
 解放された(というか、人間は常に、死ぬまで、自己を解放する途上にあると思うので、解放途上かもしれませんが、少なくとも解放を意識的に目指し始めた点が、それ以前とは違うはずなので、あえてそれを解放と呼びます。)能町さんが、つれづれに綴っております。より、能町さんをダイレクトに感じられる気がします。
  能町みね子のふつうにっき20080425更新分「あつめにっき」
  http://d.hatena.ne.jp/nomuch/20080425
 私がこれを書いている時点で最新更新分、あつめにっきも良いです。
 まず、タイトルがいい。「あつめ」です。漢字を使ってしまうと雰囲気がそこなわれてしまいますが、意味をわかりやすくするために漢字で書いてみますね。わたしの推測ですけれど、漢字にすると「熱め」だと思います。もしかすると平仮名であることで、いくつかの意味をあえてもたせているのかもしれませんが、とりあえず「熱め」で話を進めさせていただきますね。熱め。つまり熱いんですね。熱が入っているんです。少なくともご本人は、ご本人の解釈するところの熱(熱にもいろいろな意味がありますので。)を感じて書いているのです。そして、熱めの「め」。熱い、と言い切らずに、熱め、です。ストレートに、いつもよりほんのちょっとだけ熱くなりますよ、という意味か、あえて一歩ひいたかたちにしたい「め」なのかわかりませんけれど。わたしは両方の意味を感じました。
 わたしは能町さんの、姿勢、自分を見つめる目、常にいろいろな物事に対して、そして自分に対して、問いを立ててしっかりと考え、実行していくといったところも大好きです。ともすると、自分を責めすぎて凹んでしまう恐れもありますけれど、常にそういうものと闘って、前に進んでいくことは、とても良いことだと思います。偏りすぎていて、自己愛と欺瞞が大きいにもかかわらず気づかないふりをするような鈍感さをもっている場合は、この場合、押しつぶされてしまう可能性が高いと思います。(しかし、そもそもそこにすら至らないほど鈍感な場合は、周りが迷惑しているだけで、その場に限っていえば、本人の心理的にそれほど負担はないように思います。)なぜなら、自己愛と欺瞞に目を瞑っている限り、その心理的状況の正確な把握はできず、自己愛と欺瞞に縛られて、袋小路に追い込まれるからです。その追い込まれたところを、自分を真摯にみつめようとする心が攻撃するので、逃げ場がなく、窮地に陥ります。
 これは心の中の事ですけれども、実際には、社会と関わっているので、さまざまな要因が絡んできて、状況はとても厳しくなります。とくに著述や表現などを生業とすると、そういったものと向き合うことが非常に多くなると思います。
 そんな中、能町さんは、着実に、真摯に向き合って、きちんとバランスをとりながら進んでいるように思えるのです。仕事に対する姿勢、周囲に対する接し方、自分に対する評価。素直で忌憚のない表現。
 好きです。



あ、あつめにっきに書かれていた書店員さん、検索したところ、リブロ汐留パートU店 兼 汐留シオサイト店店長の遠藤慎子さんではないかと思われます。
posted by はづき生 at 17:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 気になるURL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月13日

山のロザリア

 今日は頭痛がしていて憂鬱でした。母を車で出先まで送ったあと、そうそうに帰ってきて、何とはなしにテレビを観ていました。
 八反安未果さん、山のロザリア!!!
 え。何!?
 たまたまたまたま、ついていたテレビ番組、NHK日本の歌ふるさとの歌コンサート。突然の衝撃。
 昔、日本テレビの「夜もヒッパレ」という歌番組を観ていたころ、まだ18歳くらいの八反さんが出て、度肝を抜かれました。それから毎回楽しみにヒッパレを観て、将来を楽しみにしていました。その後もレコード大賞新人賞を獲得するなど大活躍。自分の見立ては正しかった、などと、嬉しく思いながらも、ちゃっかりほくそ笑んだりなどもしておりました。
 しかし、数年すると、ぱったり。夜もヒッパレも終了。どうしたのだろう。
 歌手には基本中の基本、歌唱力は抜群のはず。時代との相性なのだろうか? などと、空疎な推測などをしていました。ときおり思い出してネット検索し、ブログをみつけたのが昨年。ああ、活動していて良かった、と、胸をなでおろしておりました。
 しかし、セクシー写真集の発売など、路線も変わったような気がして、心配しておりました。もちろん写真集そのものが駄目というのではありません。いろいろな視点からの表現というものはあって、いろいろな形で彼女の魅力が引き出されるのは良いことだと思います。彼女の放っているオーラは、当時から魅力的でした。ただ、セクシー写真集が出た場合、他の方のケースだと路線変更してしまう場合が多いように思われたのです。八反安未果には、歌い続けてもらいたい。彼女の歌を、また聴きたい。そう思っていました。
 そして今日、山のロザリアを聴いたのです。
 聴き入り、放心し、泣いてしまいました。
 ロザリアと八反安未果さんが、重なって見えました。ああ、彼女は歌い続けていたんだな、と。



山のロザリアの歌詞
http://utagoekissa.music.coocan.jp/utagoe.php?title=yamanorozaria


八反安未果さんのブログ
http://blog.livedoor.jp/amikahattan/




2007年11月28日
なつかしの歌をあつめたCD集
「忘れないわ」を発売。
山のロザリアも入っています。
posted by はづき生 at 19:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 気になるURL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月10日

川上未映子さん

 なにを今更とりあげているの、というくらい有名になりましたね。でも、今のタイミングでとりあげたかったのです。ご存知、「乳と卵」で138回芥川龍之介賞受賞の川上未映子さんです。
 わたしも文章を書こうと思い立ってから、それほど間もないですし、なにぶん世情に疎いことも多いので、作家さんたちのことはあまり知りませんでしたけれども、少し前からネットで、川上さんのことが、だいぶ噂になっておりました。1年くらい前かな、わたしが知ったのは。
 で、なにやらさわがれている人がいるっ!! ってことで、そのブログをみにいくと、「川上未映子の純粋悲性批判」。なんじゃらほい?? 哲学な人? あたしゃわかりませんよ。つーか、なんや、えろう写真写りうまいやんけ。ちくしょう(ぇw やたら文字多いでー。画像重いでー。うちはナローバンドやねん、もうちょっと軽うせーや。などと、みょーに嫉妬のまじったよーに、呟いておりました。
 そして「わたくし率 イン 歯ー、または世界」で芥川賞候補になって、他の作品も注目されたりして、メディアに取り上げられる機会も増えていって、目にしたのは、なんや、大阪弁で、えろうリズムよく書きよるやんけ、なかなかええな! と思ったのです。(ミーハーw)で、芥川賞を受賞し、さらに、あちらこちらで見かけるようになってみえてきたのは、とても真面目に求道的に頑張っていて、しかも、いい人。という姿でした。
 で、そんな中、彼女のブログをまたーりヲチしておりましたところ。どんどん忙しくなっている様子。大変そうな様子、だったのです。とくに、2008年4月10日更新分の「春のいんうつ」などを読みますと、身につまされます。
 わたしも趣味で、だらだら文章を書いたり、同人誌をだしたりして押しているときなどなど、いろいろと辛かったりなどもするのですけれど、そんな比ではありません。(あたりまえだけれど。)ただ、自分の貧弱な経験に照らし合わせてみるだけでも、大変さの一端は伝わってきます。そういえば、他にもヲチしているブログがあるのですけれど(そのうち、とりあげますね。)そこの方も、仕事が増えて、責任も増えて、おそらくはわたしなどがまだ想像もできないような、あれやこれやの悩みが積もっているようなのです。有難い、けれども恐ろしい。そんな状況。
 そんな中、身と精神を削るようにして、しぼりだすようにして創作している彼女に、本当は励ましのメールでも送りたいのだけれど、おそらくはそれすらも余裕がないだろうと思われるので、ここで敬意を表し、エールを贈りたいと思います。



川上未映子の純粋悲性批判
http://www.mieko.jp/blog/
posted by はづき生 at 16:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 気になるURL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月02日

これはいいな!!!

すげえ!!!
びびった、はまった、気に入った!!!

俺の小説(サイト名)
俺がドラクエ3の主人公だったら。(作品名)

 昨年、なんとなく検索していたら2ちゃんねるの某スレッドに引っかかりました。ドラクエ3を素材にしたゲーム小説。よく、掲示板のレスで、小説もどきが多いので、これもそういった単発のものかとおもいきや、つづくつづくながいながいながい。
 いいかげんとも思われる文章。なかみすかすかさくさくさくーと流し読み、な印象。ケータイ小説が「軽薄」とか「薄い」とか、いろいろと言われていますが、そんなもんじゃなくすさまじい!!! って感じました、最初。
 しかし、とまらないとまらない、読むスピードどんどんアップ、面白い。そして抜け出せなくなってしまったのです。いいかげんさすら面白さとなる。おそろしい。中毒性がある。よく、ストーリーなぞっているだけの小説とかありますけど、ゲームもテレビも漫画も小説も、あるていどパターンの泣き所や消費財的な側面もあったりして、そんなこんなで、その在り様に悩んだりもしますけれど、この小説は、そんなのを吹き飛ばす感じです。もともと2次創作ですから、パターンのあったのを下敷きに、知識の前提を持っていて楽しむものですし。小説もいろんな面をもっていますが、ある面をとことん突き詰めた感じでしょうか。ここまでいくと、いさぎよく、気持ちよく、とことん楽しめます。

 いやー、こんなおもろいのんがあるとは、思わなかった。
http://orere.jugem.jp/
posted by はづき生 at 14:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 気になるURL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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